一枚の写真　あれ？

あれ、なぁに？って聞かれるインターナショナルな景色。

 海外からの旅行者によく聞かれるのは、高速道路や、明治神宮や代々木公園からも良く見えるウエディングケーキのようなビル。

「あのエンパイヤステートビルのような建物は何？」という聞き方をされることが多い。なるほど、ニューヨークにあるエンパイヤステートビルか。世界中に高層ビルが建ち、今どき高いビルなんてたいして珍しくはないけれど、やはり時代に輝いた建築物は印象的なものなのですね。

さて、今回の一枚は、西新宿を散歩すると見られる、なんちゃってジオラマみたいな景色です。

例えば、東京タワーとかは、エッフェル塔をまねて建てられたのですが、コピーとは違う。

この場合、海外の方々には、”copy" とか、”imitate” とかは使わずに、”modeled ofter" を使ってみちゃったりします。

昭和の高度成長期の日本は、まさに ”modeled ofter" を駆使して多くのすぐれたモノを作り出した黄金の時代でした。

ところで、そうは言っても、ここで紹介する二つの建築物はまねっこではありません。

が、なんだかそれっぽく見えるから面白いですよね。

画像の奥に見えるエンパイアステートビル、のように見えるビルは、NTTドコモのビル。

ニューヨークのモノのまねっこではなく、これは携帯電話のアンテナを模したデザインでした。

昔、といっても2000年に竣工ですから25年前ですけど。

昨今は、技術の進歩が速いから追い付くのも大変なのですけど、当時はスマホなんて日本にはなくて、ケータイと呼ばれるものだけ。

そして、アンテナがついていたんですよ。しかも、伸びたりしてね。

ケータイの画面に電波受信のマークがあって、ま、そのころは通信状況が良くないことも多くてよく切れたものです。

そのケータイのアンテナをデザインしたのがあの代々木のドコモビルです。

斬新なデザインですよね。だんだんと出来上がるビルを見ながら、あの面白いビルは何のビルだろうねと当時から話題になっていました。

というわけで、エンパイアステートビルのまねっこではありません。

手前のガラスのピラミッドは、パリのルーブル美術館のまねっこみたいですよね。

奇しくも、この２つの印象的な建築物は1989年竣工の同い年に出来たものです。

パリにあるルーブル美術館の方は、アメリカ人のイオ・ミン・ペイ。中国生まれ、イギリス領の香港や上海のフランス租界で育ち、アメリカに渡った後も華々しく活躍をした人です。経歴を辿るだけで、激動の時代を生き抜いた人としての魅力も十分に感じさせます。

方や、この日本のピラミッドは槙文彦氏の設計。東大で丹下健三師し、やはりアメリカに留学しているんですね。二人ともハーバードで留学しているのですけど、時期も専攻も違うようで、接点があったとも思えないのですが、どちらもアジア人として世界的に有名な建築家であることは間違いない。

似たようなデザインを手掛けているのも、何かお互いのリスペクトがあったと思いたい気にもなりますね。

お二人とも既に亡くなっていますが、そのエネルギーは今も色あせることなく感じることができるます。

というわけで、まねっこ好きな日本人にはあるけど、この景色は、ジャパンオリジナルなんですよ。

さ、見に行って見ましょう。

場所は簡単、JR新宿駅の南口を出て、西に甲州街道を真っすぐに下って5分くらいで着きます。