実は知っているようで知らない手配旅行
手配旅行とは、*旅行業法 で定められた旅行契約形態の一つです。
旅行会社が、お客様の要望に合わせて、乗り物などやホテル、その旅行に関わるサービスの提供を受けることができるように手配を引き受ける委任契約なんですよ。
旅行会社などが主催する企画旅行いわゆるパッケージなどと違い、旅行会社は通常要求される注意義務を払って、お客様のご要望に沿ったサービスの手配をします。
この手配の事務処理を行えば手配旅行の債務は終了するというもの。つまり、旅行者の希望通りに予約を代行しますよというものです。
取扱手数料ってなんだ?
ん~、単純にわかりやすく言えば、お手間賃といえばいいでしょうか。
まず、知っておいてほしいのは、旅行関連にかかわることをプランしたり、手配、代行してお金を取る、つまりビジネスとしてできるのは認可を受けた旅行会社だけです。
旅行って、見えないものだし、旅行前に、時としてかなりの代金を払うことも多いですよね。お客様に提供する情報も大事ですし、安全面でも気を配らなければなりません。なので、旅行会社には旅行業法という法律を守る義務が存在していますし、旅行会社を作るために必要な国家試験を通った人も必要ですし、定期的に研修も受けなくてはなりません。
旅行って一口に言っても、とても幅の広いものですが、商品として儲けを出すのに、単純に100円のものを100円で売ったら、ビジネスは成り立ちません。
募集型と呼ばれるパッケージツアー、一般的にツアーと一括りに呼ばれていますが、それは、法律として、売るお値段に、旅行会社独自に計算された儲けをいれて販売がOKです。
一方、手配旅行というのは、お客様の要望に沿って、希望のパーツだけをお客様に代わってご用意するので、勝手に儲けを計算できないよう決められています。
旅行会社は、旅行業務取扱手数料というものを前もって決めておき、お客様にちゃんと提示しなければならないのです。つまり、後出しじゃんけんができないようになっているんです。旅行者の要望に対して明朗な明細と会計が要求されています。
注意することとして、この手数料は、旅行会社ごとに決めることが出来るので、料金に差があるというところです。ただ、旅行業法には国土交通省が定めた標準旅行約款というものがあり、殆どの会社がそれに準じていますので、似たような料金を掲げていますが、気になるのなら、一度ちゃんとチェックしてみるとよいと思います。
大事なのは、ちゃんと前もって料金を説明、提示して、責任をもって引き受けてくれているかどうかです。信頼できる旅行会社を選ぶことは、最終的に旅行の満足度につながってきます。
取扱料金(手数料)は実際に予約できなくても支払うのですか?
旅行業務取扱手数料は、旅行者に代わって調べたり、予約したりする行為に対して請求されるものなので、手配の結果が満員や休業などで旅行サービスの提供をする契約が締結できなかった場合や、お客様の条件と合わなかったなどでも、旅行会社は契約上の義務を果たしたことになり、お客様は旅行業務取扱料金を支払うことになります。
えっ!
そうなんですよ。取扱料金、つまり手数料は、いろいろな方法を使ってお客様の要望に応えるために費やした業務、時間、それに関わった必要経費に対するもの、つまり手間賃なんです。
頼んだのに、結果がダメでも手数料は取られるの?
よくいただく質問です。そうなんですよ。なら自分で取るわって方には確かに不向きかもしれませんが・・・
どうしてもその日、その時間のその飛行機のその席が絶対とかであれば、満席になってしまえば、確かにお答えはイエスです。頑張っても席を作り出すことは出来ません。
が、そこは旅行会社ですから、代わりのご提案や、方法など、ちゃんとお客様の要望にそったアドバイスなどご用意しているはずです。そういう方法もあったか!など旅行会社ならでは知識やネットワークで近いものの予約は出来たりします。
約款では「満員、休業、条件不適当等の事由により、運送・宿泊機関等との間で旅行サービスの提供をする契約を締結できなかった場合であっても、当社がその義務を果たしたときは、旅行者は、当社に対し、当社所定の旅行業務取扱料金(以下「取扱料金」といいます。)を支払わなければなりません。」と記載されています。
実際は条件に合うように他の方法などもご提案するのもサービスに含まれていると旅行会社は考えているものです。
注)約款は旅行会社によって異なる場合がございます。必ず契約前に約款の確認をするか、旅行会社に聞きましょう。
また、企画旅行と違い、旅行会社に旅程管理責任は無く、例えば航空便の欠航など、旅行中のトラブルは旅行者の自己責任で対処することになります。
*旅行業法
(国土交通省の観光庁が、旅行業等を営む者について登録制度を実施し、1.旅行業務に関する取引の公正の維持、2.旅行の安全の確保、3.旅行者の利便の増進を図ることを目的に定められた法律)
手数料を払っても頼む価値はどこに?
自分でネットで検索。比較サイトも多く情報は溢れています。ホテルや航空券を頼むのも簡単になってはきましたが。。。。
でも、複雑なルートの航空券や、こだわったホテルの選定や条件がある場合、自分で手配するのはトラブルのもと。
値段だけの比較や、webに載った情報だけでは不十分なものもあります。
あ、ここ安い!ポチっとして、カードで支払い、簡単に便利になった分だけ、落とし穴もそれなりにあります。
例えば、ひとつの海外旅行に自分で正しい情報を網羅するために、平均でも1000サイト以上を検索しなければならないと言われています。
ホテルだけだからと比較サイトを駆使してみると値段はマチマチ。少しでも安い方がいいでしょう。でも本当に比較してみたら、税込み価格と税抜価格で表記が違った。結局安いと思ったほうが高かったなんてことはよくあるし、それを調べるのにまたあっちこっちのサイトに行かねばなりません。
また、安かったら予約したけど、キャンセルしてもお金が戻らなかったというトラブルも。
このようにいいホテルを探すために、何時間費やすか。そして、詳しく知るために、メールを送る、電話をする、チャット(AIではほぼ役に立ちませんが)この労力の時間と経費を換算した場合、いったい幾らになるか。
サイトをいろいろ見ているうちに深夜になった。
メールだとやりとりに時間がかかる。電話をあちこちかけまくって調べたりしたら通話代だけで結構な額になります。
他にも海外だと予約の変更やリクエストは直接ホテルにって英語が苦手だし。などなど。。。
費用対効果は旅行会社手配を頼んだ方がいいのは歴然ですが・・・
電話代や検索にかかる時間をお金に換算すると、旅行会社の取扱手数料はかなり安いと言えます、が、そこは旅行会社の知識とどのくらいの気の利いた情報をくれるかです。これなら、自分でやった方がいいや。。と思われたらプロとしては失格。
そうは言っても、検索や裏技の達人はたくさんいらっしゃいます。
旅行会社は、安全で確実なものを提供しますから、安さや時短の追求のテクニックはむつかしいかもしれません。
トータルで考えて、旅行会社に手配を依頼した方がいいのか、ネットやSNS、ネットを駆使して自分で手配した方がいいのかよく考えてみるのもいいかもしれません。
でも、聞いておいてよかった。教えてもらっておいてよかった!ということはやはりプロならではのものです。
その偶然は、実は計算されたものです。
ホテルの部屋一つでも、設備、広さ、お客様の旅行に最も適したところをチェックします。
お子様がいる、何歳なのか、どのようなベッド構成がいいのか。ホテルサービスはお子様に適しているか、お値段とのバランスをみて判断していきます。バリアフリーでも、ホテルのコンセプトはそれぞれに違います。旅行者にフィットしたバリアフリーと施設が提供するバリアフリーは違うものです。それには、お客様からの聞き取りと、ホテルさんとのやりとりが不可欠です。
列車でも、だた、何時何分の電車、ではなく、景観まで考えた席を取るという工夫をします。観光シーズンで、席をとるのもやっとという時もありますが、車窓も大事な旅の要素です。
この路線のこの方向なら、と考えて手配出来るのだけでも取扱料金をはらう価値はあると思います。
単純に自分で調べる時間や経費を換算するだけでは比較できない、旅行会社を利用する価値は、実際に旅行をするとよくわかると思います。
いかがでしょうか?
一言で旅行と言っても、旅行会社には様々なサービスがあります。そして、旅行者の安心と安全を考慮した法律の下運営されています。
ながながとした約款を一つづつ見るなんてほんと面倒くさいですが、旅行者の安全を守るための大事なことです。どういう意味か分からない場合は、
こんなときは、あんな場合は? とにかく遠慮しないでいっぱい質問してみましょう。
知っていると、こんな補償もあるんだ、こんなことをしておけば、いざっという時に困らないな・・・などなど。
旅行会社に手配を頼むと自分でする以上に時間とお金を節約できることが実はいっぱいあるんですよ。
上手に利用したいですね。
次回は相談料について説明します。