ナンパはコミュの便利近道。クールに決めよう!
旅の楽しみ方は人それぞれ。これ!というのはないと思うけど、旅はやっぱり冒険がないとね。
そう思って、出かけてみると、どうも日本人は大人しい。
個人的に、日本人、とくに女性は世界に誇れるくらいに生活能力が高いと思っているし、バランス感覚は悪くないから、そりゃ~~もったいない。
未知なる国の旅行で、もっとコミュ出来れば、えっ!そうだったのと生で感動すること多いと思う。
来た甲斐があった~!って絶対そう思えるのに。そこ、冒険の大事なポイントだよ!
気軽に会話を楽しむ、それ、きっかけは映画のシーンみたい?
例えば、一人旅なんて想像する時に、すっごく素敵な人に出会っちゃったりして!なんて考えること、そりゃあると思う。
そういうのも、見知らぬ国に行ってみたいって憧れの一つに絶対になり得るよね。
実際に行ってみると、そりゃねぇ。現実とのギャップはつきものですが。おとぎ話はおとぎ話のまま終わることの方が多い。私事で申し訳ないけど、(面食いなんですけどね。)外国に行くと、もう美男と美女で溢れていると思っていたことが違うということに気が付いた。
あはは。ですよね、無意識でそう思い込んでいた自分にびっくりした。
そりゃ、当たり前、その辺を歩いているのと同じ。映画スターのような人がそういる訳ないわよね。
そして、ショーウィンドウに映る自分を見たら、自分はエキストラにもならないことに・・・あら!がっがり。だったりね。
ん~~~。
素敵な映画の出会いのシーンは様々だけどね、外国の映画って見つめあうシーンからスタートして、なんだか分かんないけど、洒落た会話から始まるイメージがない?
言葉の壁を壊すためには、単に出だしだけだと思います。
別に恋愛をしたいわけじゃないとして、(そういう人もきっといると思うけど。)自由な一人旅、いや、別に一人じゃなくても、スケジュールを自由に決められる旅をしているんなら、フラフラするのが、何と言っても楽しい。
当然、歩き疲れたら、喉も乾く、わよね。
じゃ、さ、せっかくの旅だからさ、しゃれたカフェとかあるわけよ。
アジアなら、洒落たとまではいかなくても、外国からの観光客も集まっていそうなカフェっちゅうか食堂っちゅうのがあるのよ。
真昼間に、しゃれたカフェで、出来ればそんなに混んでいなくて、オープンな感じで入りやすくて、で、ビールくらいをちゃちゃっと飲めちゃうところがいいよね。一人旅で女性なら、ちょっと勇気いるかもしれないけど、そこは旅人、出だしだけだから。
訳もないのに、ニコニコしているという評価される日本人。でも、こういう時は、ニコッと笑って、お店に入ろう!
「ハぁイ!」ニコ!
これが決めです。
後は不思議なほどコトが進んでいくものです。
あり得ないから始めてみよう。
聞くは一時の恥聞かぬは一生の恥。というコトワザがあります。
まったく的を得ていないかもしれませんが、これが海外旅行中の私の座右の銘です。
さて、そこは、多分、夜は地元の人達でにぎわうメインストリートの角地のバー。
昼は、観光客や、年金暮らしの年寄りたちのために店を開けている、と店の中の景色を見て勝手にそう思う。
夏の暑い昼下がり。こういう時は、キーンと冷たいビールに限るね。
ドアは開け放たれていて、中も良く見える。
入ってすぐ長いカウンターがあり、バイト風の若者が暇そうにグラスを磨いている。
「ハぁイ!」ニコッ!
それだけで、どこでも好きなところに座ればと分かる目線と、スマイルが帰って来る。
入り口から2~3席のところ、ハイスツールに斜め掛けしたラフなスタイルの男性が二人、ピルスナーグラス片手におしゃべりをしている。
そこからまた2席奥、充分に陽光が届くカウンター席に座った、というか、よじ登った。
明らかな東洋人、平べったい顔の年齢も把握しずらい女性に、バイト風の若者は、困ったように顎を少し上げて見る。
ドラフトビア、プリーズ。大丈夫、通じた。
プリーズは大事。何にでもプリーズをつければ問題ない。
「シィ。」と軽やかに返事をすると、目の前のビールサーバーからキリッキリの生ビールが泡立つ。
奥のテーブル席には暑い日差しを避けるように常連客風の老人が新聞を読んでいる。
昼間のアルコールはすぐに効いてくる。けだるい午後になる気配がジーンとこめかみから染みてくる。
ん~、いい感じ。旅だわ~~~~。
2席隣の二人の会話が英語だと気が付いた。
この時間のラフな格好からして多分旅行者に違いない。
私は、旅のこういう時間にいつもするように、絵葉書とペンを出している。
緊急でもない限り、海外に出てメールや電話なんて意識してやらない。
誰も追いかけてこない、誰も想像していないところにいることだけでかなり旅気分になる。
絵葉書が届くころには、私はもうそこにいない。そう考えただけで時空を遊んでいるような楽しい気分になる。
うふふふ、かっこいいべ?
さて、映画のシーンだ。
旅行者ですか?
このセリフからナンパコミュだわ。
言葉が出来ないのではなく、しゃべる行為に抵抗があるだけと気が付くでしょう?
こんなもの、アーユーツーリスト? だけのこと。
小学生だって言える。言えるが、しゃべりかけないだけのことでしょ?
正しいか正しくないかとか、通じるとか通じないとかじゃ、なくて、もっと以前。
喋らなければ、何も進まない。話しかけられるかどうかを待つ時間に出てっちゃうかもしれないじゃん。
二人はギョッともしないし、何だコイツ?という顔もしない。
そうだよ。 イエィ。
ウン、映画のようだ。会話はスタートした!
そしてお決まりの、どこから来たの?
ホェアーユーフロム?
イングランド、君は?
日本。
ほい!ヤッホー!
これでいっちょ上がり。
そ・し・て、いつものパターン。2分もすれば、声かけたことを後悔する。
だって、話しを続けるのってけっこう大変なんだもの。
えっ!口説かれて?断るのに苦労とか。。。そんないいもんじゃない。
話が続いて、定番トピックが終わると、すぐに言っていることが分からなくなるんだよ。
そう、会話だからね、何かに向かって進んでいくのだけど、何を言ってる?
この二人。。。。
仕方がない、当時の私のバイブル、電子辞書を出して、スペルを聞く始末。
日本語みたいなやばい英語で恥をかく、そして大爆笑する!
昼間のビールはまわりが早い。けど、冷や汗であっという間に醒める。ったく金の無駄遣いだよ。
ん~~~。映画の様に始まったナンパ・コミュニケーションは、毎度8分でお酒の意味がなくなる。
これも日本人の悪いクセ。
分からないのに、分かったふりをして、相槌を打ったり、イエスと言ったりする。
これはかなり危険な行為。けど、なんか、反射的にやってしまう。
分からなければ、分からないとはっきり言うべきなんだけど、こういうのは、失礼な行為として身についているし、何度も何度も、いちいちに聞き返すのもバツが悪くて出来ない。
ここで私は、ちょっといい言葉を思い出した。
Ah, so.
日本語の「あ、そう。」に当たる言葉。。。の記憶のはずだった。
良く分からないので、ふんふんと聞き役に回って、良くわからないので、「あ、そう。」と繰り返していた。
彼らはイギリスからの旅行者で、2週間の予定の最終日、明日は国に帰るというところまでは分かった。
そして、彼らは大笑いを始めた。
こちらはキョトン?
なんか変なこと言った?
ん??????
彼らは涙を流して笑っている。
なんだ?
そしてそのうちの一人が、意を決したように「Ah so?」って、日本語って聞くんですよ。
そうだけど、英語でも同じ意味の言葉でしょう?
ええっ!って彼ら。
A・H・S・O とスペルを言う。
そしたら、彼らは、アー、ソーと言う、そうよ、アー、ソーよ!と私が答える。
3人でアーソーと繰り返すというなんだかコメディのような場面になった。
そして、やっと一人が言う。
それさ、アーソーじゃなくて、アーソーに聞こえるんだよ。
何?アーソーじゃないアーソー?
アーソーはアーソーでしょ?
彼はスペルを言う。
電子辞書に打ち込んでごらん。
そして彼の言う通りのスペルを打ち込んで「決定」を押すと・・・・。
出て来た日本語訳は
「尻の穴」
へっ?
そして、話題は恋から笑い話へ。
どうして、そう聞こえるのか分からないけれど、発音と言うかイントネーションとはそういうものらしい。
こうなるとびっくりして、酔いは完璧に突き抜けて、まったく別の状況で真っ赤になる。
ニコニコとごまかすどころじゃない。
えええええええっ!と突っ伏して、吹き出して、大笑い。
しばしの間、声にならない悶絶絶句の笑いで、私たちは異国地で、楽しい午後のひと時を過ごすことになる。
日本語の話、英語の話、お互いの国の話。
そうして、恋バナは、単なる笑い話とお互いに暮らしたことも訪れたこともない国について、楽しい(?)話を交わし、いつかその国を訪ねることを約束し、心得るようにお互いの連絡先を交わさない。
このかっこよさ、映画の様におしゃれでしょ。
っつーか、単に連絡先を聞かれなかっただけかも。
そりゃ、ここで連絡先を聞かれることもあるかもしれないし、夕飯どう?って誘われることもあるだろうけど、
この「穴の穴」を連発する変な東洋人にはお呼びがかからなかったことは納得。
といっても、ナンパしたおかげで、私たちは、同じ世界、同じ時間、まったく出会う何億分化の一の偶然を、確かに共有したわけだし、こうして、いまも語れる記憶の中に存在している。もう顔も思い出せないけどね。
こんな唯一無二の体験を誰に自慢するでもなく、自分の旅の思い出に出来るって財産だと思わない。
だってね、それから私はとても上手に英語で相槌を打てるようになったのよ。
これ、自由旅行の贅沢と言えません、か?
別に有名なホテルに泊まる出なく、インスタで自慢できる画像をアップするわけではないとしても、その空気、気温、人、自分の動く感情。
笑い、不安、失敗、見知らぬ人々。景色、味。
それは、間違いなく、その時、その年齢で、その場にいた時分だからこその感覚や想い。
そこ、感じ取ることが絶対、あなたの人生の最も高級な部類に属する素敵な財産になる。それも間違いないと確信できます。
行こう!
そこはこの世にある魔法の世界だよ。
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