異文化 あるある Vol.2 白いカラスはいる!

へぇ~!そうなんだ。気にしたこともなかった 目からウロコのそこらへんの鳥

 その国に住む人にとっては何の変哲もないものも、旅人たちにとっては、驚きの連続の出来事になる!

白いカラスっているの? それがいるんだよね~~~~。

スコープ越しに撮影 白いカラスです!

 ちょっと前から、東北地方でカラスの大群が話題になっています。カラスなんて、カラス。と思っている人が殆どだと思うけど、カラスって国によって全くちがうんですよね。

 異文化あるあるの題材としては、英語から入っていきましょう。カラスは英語で何て言う? crow クロウ、かな?私が最初に出会ったカラスの英語は、raven レイブンでした。他にマニアックなところでは、rookjackdaw, という単語もあります。

渋谷や新宿のカラスはカラスじゃないって~~~~?

 私の古い友人が台湾から日本に初めて来て驚いたもの、朝早く、人も恐れずに道端でエサをついばむ、あのでっかいカラスの大群だったらしい。今や都会のカラスなんて当たり前に思っているけど、台湾ではと~っても不吉なことなのだそう。それに都会にいるカラスは、けっこう大きいし、数羽でゴミを漁っている姿は、かない怖い。台湾人に限らず、街にカラスが飛び交う風景に驚く外国人はけっこう多くて、なぜ?と聞かれても、これ!という回答ができないことの一つです。私たちが特に気にするでもなく共存していることも、なかなか理解しがたい景色のようです。

 一方、私たちが外国に行って、驚くのは、町中でも見かける美しい青緑がかった濡れ羽色の黒い鳥。あれ、なんて鳥?と聞けば、大抵はクロウ、つまりカラスと言われる。私たちが身近で見るカラスよりずっと小さくで、愛らしく怖いという感覚はない。

 そこで、初めて、カラスっていっぱいいるんだと気が付く。まあ、カラスの種類が多いのか、国によって呼び方が違うのかは分からないところが、また異文化っぽくて面白い。

 さて、ここで先の英語。都会にいる、ちょっと凶暴で恐ろし気なカラスは学術的にはクロウらしいのだけど、外国人たちは、レイブンという表現を使う人の方が圧倒的に多いです。この違いも国によると思うのですが、クロウは比較的小さくて可愛らしい。自分の国のカラスに比べて大きければレイブンのようです。って、カラスって普通、山にいるらしいので、日本のように近くでまじまじ見られることもないから、その大きさにびっくりしているだけかも。だって、代々木公園とかで、何か食べようとすれば、ヒッチコックの映画並みに、次々に大きな大きなカラスたちが飛来してきて、あっという間に取り囲まれてしまうからね!

ロンドン塔にいるカラスはレイブン

 イギリスのロンドン塔を守っているカラスは、ワタリガラスという大きなカラス。彼らは当然のようにravenレイブンと呼ばれています。東京にいるカラスは、ハシブトカラス、ハシボソカラスとか呼ばれる種類だそうです。その名の通り、くちばしの大きさが太いか細いかって違いだそうです。英語名としては jungle crow ジャングルクロウ。うむ、町にいちゃいけない名前だね。。。

えっ!カラスで英国が崩壊!? そういえば、王室のスキャンダルの行方は。。。。

 ロンドン塔にいるレイブンズたちは、国の命運を握っていて、いかなる時も塔に6羽そろえておくよう義務付ける勅令が17世紀に出されているのだそうですよ。

 ところが!なんと、今年、1羽が行方不明になっちゃったらしいとニュースになっています。

 EU離脱、コロナ、そしてメーガン妃の7億円インタヴュー、カラスの所為かもしれません。他人ごとではありますが、非現実的なこととして片づけられない何かはこの世にあると思いますし。。。。

 日本でも数日前には東北地方でカラスの大群が押し寄せて、そこでミヤマガラスという渡り鳥がニュースに登場してきました。カラスって渡り鳥だったの?とあるあるが広がって来ました。このミヤマガラスが rook です。カタカナのロの音に近いルから始まって、ルークです。

ミヤマガラスに混じるコクマルガラス
ミヤマガラスに混じるコクマルガラス

 ページトップの画像と同様に、黒いカラスの中にいる白いボディの鳥。これが白いカラスです。九州で撮影しました。海外からのバードウッチャーのグループを率いていた日本野鳥の会の方が見つけて、スコープ越しに写真を撮らせてもらったmyお宝写真です。少々ピンボケですが、確かに白いでしょ? よくワンマンな人の暴言に対して、黒いカラスも白くなるという表現をしますが、意外にも白いカラスは存在していました。

 名前をコクマルガラスと言います。これも渡り鳥で、ミヤマガラスに混じっているらしいですよ。

 東北のカラスの大群はミヤマガラスらしいので、この白いカラスもみつかるかもしれませんね。このカラスの英語が jackdaw ジャックドーです。このカラス、ギャージャーじゃなくて、キュ!と鳴くらしいです。

 なかなか嫌われ者のカラスですが、この渡り鳥たちを見るために、海外からやってくる人たちがいるんですね。彼らも今は切にコロナ収束を願っているでしょうね。

 ちなみに、私にとってですけど、珍しい鳥を見るより、鳥を探しまくるバードウォッチャーの生態の方が、驚きの連続でずっと興味深いものでしたがね。 

ホントは人間が一番が面白い。

 私は特に鳥に詳しいわけでも、興味があるわけでもありません。飼ったこともありません。でも、たまたま鳥好きと知り合った縁でいろいろと面白い話を聞くと、鳥という生き物を通して、環境問題や、国際問題などにも話題は広がって行きます。

 そして、海外旅行の好きな私にとっては、例え、目的がバードウォッチであっても日本のこと少しでも知ってもらったり、体験してもらいたいと思ったのですが、彼らは、鳥を探す、見る以外に本当になんにも興味を示しませんでした。こういうのをマニアと言うのか!と驚きの連続でした。

 その中で、ホッとしたのは、オオワシを探して、真冬の北海道、厚岸の吹雪の海岸を彷徨っていた時、牡蠣小屋にいたご老人が中に招いてくれたことです。わずかな時間の暖に、ダルマストーブの上に、いっぱい牡蛎を載せて、焼きたてをごちそうしてくれたのです。もう、その美味いことといったら!今までに味わったことのない牡蛎(その後も出会えてません!)! 彼らも親指を立てて、涙目になっていました。良かった!美味しいものを食べて、旅行地を楽しめる普通の人たちだったんだと、あまりに当たり前のことに感動した私でした。

 おかげで、カラスだけでも、こんなに英語のボキャブラも増えました!いつかきっと役に立つと思います!

(photolibrary より引用)
美しい色と長い尻尾のオナガ

そこいら辺を飛んでるんだけどねぇ。。。

 えっこんな鳥、知らないと言うなかれ。尤も、最近では関東以北でしか見られないらしいのですが、オナガという野鳥です。鳥なんてあまり気にしてもいない私なのですが、自宅周辺でよく目にします。割と大き目だし、何より色とフォルムが美しいので、あれ、何の鳥だろうと目に留まってはいたのです。

 ただね、ものすごく汚らしい声で鳴くのですよ。まさかあの鳴き声がオナガなのかとものすごくがっかりしました。ゥギャーァーって、朝から雑巾を引き裂くような声です。そしたら、カラスの仲間らしい。なるほど。

 きっとカラスだと思って気にしていないだけかもしれません。まあ、そのギャップで却って印象に残る鳥なんですが、ほんと、近所、そこら辺に、しかもグループで飛んでいる。この鳥が、海外から来るバードウッチャー達には超お宝の鳥らしいんです。

 

世界を旅するバードウォッチャーたち

 バードウォッチングとはその名の通り、鳥見なんですけど、この趣味(?)に魅入られた人々は、それこそヒマがあれば地球中を飛び交っているといっても過言ではないらしい。この人々たちには何度も目からウロコを落としまくった!世界には蝶々とか昆虫とかを追いかけている人がいるのも知っているけれど、捕まえるとか、コレクションするというイメージがあった。けど、この鳥見族は、徹底したナチュラリストと言える。異国の地に鳥を見に来るだけ。本当に見るだけ。写真を撮ることもするけれど、それを主たる目的にもしていない。この目で見ることに価値をおいて、夜中でも極寒でも、山でも川でも、ひたすら多くの機材(三脚付き望遠鏡、超望遠カメラ、双眼鏡)を抱えて自然の中の鳥を探しまくる。

 北海道には、そうした人々が集まる民宿がいくつもあり、それだけ憧れの鳥の種類も多いと言えるのだけど、1日中、飲食もそこそこに、ただただ、鳥を見るために移動する。なかなか私には理解できない世界である。

 そして、決して自然を傷つけない。餌付けされた鳥には見向きもしない。人の手を介した鳥には魅力はないのだそう。現に、宿のご主人が庭木にエサを置いておくと、それなりに珍しい鳥が集まってきて、美しいさえずりを聞かせてくれるのだけど、彼らは興味も示さず、せっせと朝食を済まして、ポイントを目指す準備を怠らない。

 地球の環境を考えると、ものすごく贅沢で、危機感の中にある趣味のようにも思う。

オナガ   azure-winged magpie
オナガ azure-winged magpie

 

 私が出会った鳥見族たちは、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパからのグループ、北海道のフクロウから沖縄のヤンバルクイナまでを網羅して、ただただひたすら鳥を追い求めていた。

 彼らは夜になると、ミーティングを開いて、いつどんな鳥がどんな場所でみられたのかをきちんと記録している。

 美しいイラストのコンパクトな図鑑も年季が入っていて、愛着のほどが感じられてかっこいい。

 と、あるアメリカ人の女性の図鑑に知っている鳥を見つけた。「これ、オナガね。毎朝見るよ。」日本語が通じる訳がない。何とかマグパイとか食べ物みたいな名前を言っている。が、美しい瑠璃色、そしてショックを受けるほどのひどい鳴き声、そうオナガに間違いがない。とここまで相互理解が出来た。

 彼女にとっては夢見るウォッチングしたい鳥のトップに入るらしい。そうか、毎朝ギャーギャー鳴いているあの鳥を異国で夢見て焦がれる人がいるんだ。


カラスを見るときは連絡してね。

 旅はそれだけで、夢に溢れるものだけど、人それぞれに求めるものは違う。そして、旅の目的が決まっていたとしても、それに付随して起こるすべてが新鮮で楽しい。アメリカ人の彼女とは、その後会っていないけれど、次に日本に来たときは、ぜひ私の家に遊びに来てね。オナガがきっと見られるわよ。と会話をした覚えがある。どうしているかなぁ。コロナが終わったら、ひょんと連絡が来るかもしれないね。

 そうそう、彼女が私に教えてくれた何とかマグパイ。azure-winged magpie アジューウィングドマグパイ。直訳すると、紺碧の翼を持つカササギとなります。・・・・・ふむ、カササギもカラスの仲間か。。。。。

 都会の鳥たちが嫌われないように、普通にいた鳥たちがいなくならないように、そこいら辺にいる鳥たちさえ、旅行者を引き付ける国であって欲しいなとも願った思い出です。

 異文化 あるあるは、自分が体験して、へー、そうなんだと知り得たことを気ままに書いています。2回目は東北のカラスの大群のニュースで思い出したエピソード。言葉や常識は時間軸と共に変化していくものだし、住んでいる地域や世代、時代によって、感じ方も変わるかもしれませんが、実際に見聞きすたことを大切にしています。