山手線1周と同じ時間で、ワープしたかのようにアラビアン
ふらっと旅したい・・。慣れないうちは、夢のまた夢と思うかもしれないけれど、最初の1歩さえ踏み出せれば、堰を切ったように次々と未知なる探訪の欲求が湧いてくるものだ。
向こう岸にアフリカが見えるジブラルタル海峡
彼の地と思い込んでいたアフリカ大陸。スペインからフェリーで1時間で行けることが分かった時、これは行くしかないと思った。
デッキにヘルメットを被った人が見えますよね。
かなり大型の立派なフェリーです。
スペイン、タリファの港からアフリカ大陸を見る。
出航直後、1時間経てば対岸のアフリカに立ちます!
今回は憧れのアフリカデビューのお話しです。
アフリカって、ものすごい遠いイメージがあって、「死ぬまでに行けたらいいなぁ」のリストに突っ込んだままだったのだけど、割と近いんだと気づいたのは、これまた「死ぬまで」リストに長いこと紛れ込んでいたポルトガルへ旅の計画中でした。
ポルトガルって10代のころから憧れていたのですが、素朴でのどかな村の民宿、地中海、少女の頃に目にした雑誌のグラビアが絵本のように素敵だったという理由。もともとスペインのワイナリーの下見をしたかったので、今度こそお隣の国だし、ポルトガルも入れてと計画を始めました。
周遊の旅では、ゲートウェイをどこにするかというのは、けっこう大事なポイントなのですけど、今回は、考慮の結果、ポルトガルからスペインへの方向に。ガイドブックと地図をみながら、プランニングしていると、毎度のことながら、浮気心が湧いてくるのは旅好きの証。
私の場合、言葉の持つ魅力というか、イメージというか、今回ヒットしたのは、ジブラルタル。「ジブラルタル海峡」の言葉が、私の人生のどこでインプットされたのか全くわからないのですけど、ピンッて。
ウェブって便利なので、思いついたら、調べるのは即出来る。あ、でも、地図はなぜだかアナログにこだわっています。ウェブって、ある目的をもって調べるのには適しているけど、気づきが少ないのよね。じっくり見るには、アナログの方がいいのは私だけでしょうか???
スペインのイベリア半島にあるジブラルタル。たった6.8キロ平方の岬はイギリスなんだ。んじゃ、スペインから1歩またげばイギリスで、そこから海をちょこっと渡るとアフリカじゃん! このルート嘘っぽくていいじゃないってワクワクしちゃったのだけど、旅の途中の立ち寄りとなると、時間的にもルートも忙しすぎる感じ。では、今回は、ストレートにジブラルタル海峡を渡ってアフリカなんてどうだろう。なんかアフリカが急に身近に感じる。こんな近かったんだと気がついちゃったんだからさ。
調べてみると、フェリーで1時間くらい。山手線1周でアフリカに行けるじゃん。これ、行かない手はないんじゃないかと。思うよね、1時間だもの。
山手線1周に手間取る
行けば行ったで何とかなるという冒険旅行は面白い。しかし、期間が決まっていて、他にメインの目的があるとなると、ある程度はプランニングにしておかないとせっかくの努力が無駄に終わる可能性が高まる。
欲張りなことをしようとすればするほど、緩い部分が必要になるのが自由旅行というもの。緩い部分が必要になるということは、時間を要するということ。いつか帰れればという旅が出来る人なら、この面白さはたまらないものだけど、残念、実際に緩い予定で動けるひとは、そう多くはないだろう。予備に使える遊びは1日か、せいぜい2日くらいのもの、なので、必要になるのは、出来る限りの正しいリアルな情報になる。
ネットにあふれるブログも最新のガイドブックも、正しいリアルな情報とは行かない。嘘なのではなく、その時の事実はその時だけのもの。3か月もすれば、お店も変わるし、工事中だったり、電車やバスのダイヤも変わるし、事情は刻々と変化するものだから。だから、行って話が違うといのは、特に驚かないが、後の予定を考えると、異国で足が途絶えるのは困る。ここは、出来る限り正確な情報が欲しい。リスク管理ってやつですね。
困ったのは、意外とアフリカの情報って少ない。ガイドブックもそうないし、頼みの政府観光局もざっくり目。フェリーがあることは分かったが、時間がまちまちだし、港も2か所。この間のアクセスもどのくらいのものか、前後の続き予定を考えると、どっちをアフリカのゲートウェイにするのか、着いたら着いたで、その先のアクセスはどうか、どのくらいの距離を移動できるものか、謎は深まるばかり。こんなところ、ふらっと行く日本人はまだまだ少ないのかもね。ポルトガル、スペインのスケジュールからひねり出した2~3日で、この欲張りが出来るか否か。
旅行会社を賢く使う
こういう悩みを解決してくれるのは、やはり旅行会社。スペインの対岸、モロッコ、タンジェの町で旅行会社を経営する若きイケメン社長には本当にお世話になりました。
それはもう、リアルで正しい情報でしょう! さらに助かったのが、ラマダンです。ラマダンの時期と重なるのは、リサーチすみだったのですが、ラマダンの終了日が国や地域によって違うのことまでは知りませんでした。ネットでも調べた終了日は基準にすぎず、その国の終了日は、やはり現地じゃないと正確とは行かないようです。モロッコはこの年、ネットに書かれていた日とは1日遅れでした。おかげで、貴重な数日の立ち寄り滞在で、何もできない日を作らずに済みました。ほかに、アジアの旧正月、イースター、クリスマス、旅の時期と重なる時は、チェック大事です。
旅をするとき、ポイント、ポイントで旅行会社を利用するのは、自由旅行では大切な要素です。出発前にしておくこと、現地に行ってからでも大丈夫なもの。そういうことを相談に乗ってくれるのも旅行会社です。上手に必要なところを使うのは旅行者の腕です。何もかも頼るのではなく、自分の要望を整理しておけば、よりクオリティの高い冒険旅ができます。
これは「旅のデザインラボ」誕生の大きなきっかけにもなりました。ネットがどんなに便利になっても、誰もが簡単に値段を比較して予約が出来ても、それだけで満足な旅は手に入らない。ネガティブなクチコミを読むと、殆どが、そういうサイトの使い方の誤解と思い込みが問題です。文句を言って済めばよいですが、残念ながら、時間もお金も返ってきません。せめて、それを笑い話に変えるくらいの度量があればですが、なかなかそうはいきませんよね、そう、案ずるが生むがやすし、備えあれば患いなし、この塩梅です。
安さやお手軽さが、却って、時間も経験も無駄になってしまうことを考えたら、多少の手数料を払っても、気分の要望に近いものを手にしたほうが、旅の成果は計り知れず高いものになります。こだわりのある、丁寧な旅のプランは、旅人にとっては、何物にも代えがたい財産になることを私は自分の経験から知っています。
ただ、旅行サービスが何でもできる魔法のランプではないことは心得ておきましょう。理由は簡単、ワークショップとかでもよく上がるポイントですが、実際に手足と頭を使って旅をするのは、旅行者だからです。旅行者と旅行社の理解と納得の相乗効果が大事なんですね。
フェリー路線、個人的にはタリファ~タンジェが便利だったかな
状況は刻々変わるので、ここでの情報は、あくまで私が行ったときという限定です。スペインからアフリカ大陸、モロッコまでの船(フェリー)には、2つの港があります。タリファとアルへシラスという町です。
前後の予定を考慮して決めるのが良いと思いますが、私の場合は、アルコス・デ・ラ・フロンターレというスペインの白い村からのバス移動だったので、タリファの港がアフリカへのゲートウェイになりました。
ヨーロッパの国々の細かい所に行くとき、バスはとっても便利なのですが、路線や時間が事前に分かりにくいのが難点。実際に現地でもよく分からないことがある。特に小さな村とか行くときは、要注意。バスの便が1日2本とかだったり。バスの出発時間に誤差があったり。乗り過ごしたくはないわよね~。
バスの話しはまた別の機会に書くことにして、船でジブラルタル海峡を渡りましょう!
アルコスを出たバスは、途中カディスで乗り換えて、タリファの港に。チケットも問題なく買える。往復チケットが割安だけど、今から帰りの時間を決めるのも・・・1時間~2時間毎に便はあるので、縛りがないほうが気持ちも楽だし、明後日の話しなので片道で。
1時間の船旅、デッキで風を感じて、免税店で買い物して、バーで軽食、入国審査、やることいっぱい!
入国審査は船の中のカウンター。客室は広々とした遊覧船という感じ。国境を超えるので、免税店がある。軽食も楽しめるバーカウンターがあって、1時間の旅の割には充実度高い。
デッキに出れば、スペインの陸地が離れるにしたがい、アフリカ大陸がみるみる近づいて来る。不思議というか、有り難味がないというか、毎日アフリカからヨーロッパに通勤とか出来ちゃう雰囲気。ジョホールバルみたいだな。
と言っても、これが私のアフリカデビュー、気持ち的には、かなりの浪漫。風を感じて息を吸い込む。国が変われば、香りも変わるものだ。
ラマダン明けの昼下がりは、静かにスタートした
1時間前までは、スペインにいました。陽気なラティーナたちに、オラーとあいさつしながら旅を続けて来ました。
今はアフリカです。様子も一変、アラビックな丈の長いシャツ。トーブと呼ばれるものか。
港にいたタクシーの運転手さん、あまり英語が通じない。フランス語を話せと言われた。了解!ここからは「ボンジュール!」で始めましょう。
灼熱の太陽、別の意味で、こちらも陽気で人の良さがあふれている。イスラムの国なので、節度は守らねば、特に女性、まあ、習慣的に日本人は大丈夫と思うけど、短パン、Tシャツとかは失礼と考えましょう。
ラマダン明けなので、タクシーもまばら。
ちなみにタンジェの港からダウンタウン(町)までは、歩けます。荷物と体力で考えれば良いと思います。タクシー利用の場合は、メーターをちゃんとチェックすること、ここでも例外ではありません。
ラマダンは夕方に明ける。昼下がりの町は殺風景な静寂に包まれている。
まだまだ明るい時間、そろそろラマダン明け。嵐の前の静けさ・・・?
ラマダンは水も飲めない?
ラマダンって、きつい修行のようなイメージがあったのですが、けっこう楽しいらしいです。日が沈むまでは何も口にしてはいけないけれど、その分、仕事時間も短縮されて、夜はけっこう家族で豊富な食事をするらしく、甘いものたくさん食べるので、逆に太るのが悩みの種だったりするとか。
昼は水もダメらしいのですが、暑い国ですからね、そこはいろいろと考え方のようで・・・。飲めないこともないとか。
ムスリムの人々にとっては、感謝の気持ちを認識したり、家族が集まったりして、お祭りのようなひと月だそうです。
静かだった町、おしゃれをした人が少しづつ現れ、露店やレストランも開店の準備を始める。
日没は20時過ぎなのだが・・・・
すでに・・・ぱらぱらと人が増え・・
まだ日のある夕方、気ぜわしく、
待ち焦がれたように、街灯に灯がともる。
と、
17時ころになると、町のあちこちのシャッターが上がる。
この日は移動日だったので、食事の時間が狂っている。
ミミズののたくったような文字もなんのその。
B級グルメは強し!
写真、数字、ショーケース、文字など読めなくても、
気さくな店員との手振り身振りさえあればOK!
考えてみたら、やっと今日ご飯かも。
何があるのかな・・・・。
モロッコと言えば、タジン料理か。。。
この日は、新しいものを下ろす日。新品のお洋服を着て、食事、買い物、おしゃべりに出かける。
魚介類や肉、種類は豊富。お好みで調理頼めます!焼くとか蒸すとか、言葉の苦手な人は、ジェスチャー能力が必要です!
フランスの影響を受けた国特有。フランスパンサンドイッチ。好きなもの選んでサンドイッチもOK!もちろんサラダだけでも。
結果はこんな。絶対ビールが合うのだけど、残念!イスラム国家、アルコールがないのですよ。これはけっこうつらい。あ~! 全部で1000円弱
タジンって何?あのタジン鍋を誰も知らない・・・・の謎
一時、日本でも大ヒットしたタジン鍋って覚えているだろうか?三角帽子のような、愛らしい形の蓋がついた土鍋。あれ、モロッコ生まれなのだが、実際にモロッコでは皆無と言っていいほどない。
左はタジン料理。一言で言えば、蒸し煮のこと。なので、なんでも蒸し煮すればタジンというのですけど。。。。
少なくとも、この地域では、だ~れも、私が会った数少ないだ~れもですけど、あのタジン鍋のことを知りませんでした。
この店も奥のキッチンで料理してますが、タジン鍋、ありませんでした。ですが、メニューは、タジンです。タジンだらけです。
頼んだのは、イワシとトマトと野菜のタジンです。そして、お茶。
ああ・・・。ビ、ビール飲みたい。。。。
気が付けば、通りのお店はどんどん開店し、人も行きかう。一杯ひっかけるように、さっと食べては出ていく、それはなんと!お茶碗に盛られたカタツムリ。
隣のお店のテラス席にかわいい双子の女の子がきたので、美味しいのって聞いてみた。食べてみる?って、さすがにそれは悪いので、一つ注文、10DHM、1€。隣のお店の店員さんにお金を払うと、店を超えて運んでくれた。
つまようじでくるっとねじって身を出して食べる。
モロッコは歴史的背景でフランスの影響を受けている。エスカルゴを食べるのはその名残なのだろうか? と思っていたら、そうでもないらしい。ポルトガルでもスペインでも食べるらしい。外食では出くわさなかったが。どうも古代ローマ人が始まりという説も。
とてもシンプルな料理で軽い塩水で茹でただけのよう。一杯ひっかけるようにとは言い得て妙で、次々にお客は入れ替わる。つまようじのようなものが付いていて、それで引っ張り出すのだが、巻貝を食べた人は分かると思うけど、そう上手くは出てこない。
おじさんたちは、ふいって息を吸い込で食べる。笑ってしまうけど、見事に口の中に入るらしい。習ったけど、こちらもそう簡単にはいかない。ちなみに味は、けっして美味しいとは言いかねる。おフレンチでガーリック、バター、パセリを使うのはこういう理由かしら。
ちょっと泥臭くて、生臭さも残っていて、話のネタに一度食べればいいや。ただし、このタンジェの町の人々には大人気。もしかしたら、ラマダン明けの定番料理とか???? 謎のエスカルゴのスチーム。これもタジン料理の一種なのか????
夜遅くまで賑わうお祝いの日
モロッコの国教はイスラム教ですが、宗教の自由は保証されている国、言語は主にモロッコ語、歴史の関係から、英語より断然フランス語を話す人が多い。ムスリムの多い国ですから、最低限のルールは知っておかないと、と思います。自由に旅をする基本の基本として、訪れる国には敬意を持つこと。ものすごく大事なことです。いくら靴を脱ぐ習慣がないからと言って、畳に靴で上がる外国人を日本人は許さないだろうし、上がられたら、どんなに嫌かを想像すれば、逆はしないようにするのは自然のことですよね。
モロッコはけっこう自由です。女性も顔を隠したりはしていませんし、おしゃれです。最も、この国に限ったことではありませんが、世代や、それぞれの家庭によっても違いはあるのでしょうけど。
町の写真とか取る場合も、映り込む女性連れの男の人から注意されたりします。いつもより気を使うことは必要かもしれません。
どんなに暑くても肌を露出は控える。ファッションがどうこうというより、生活の美意識の問題かなって思うのです。景色に美しく溶け込むって感覚、私は、けっこう大事にしています。要は、T.P.Oです。